最良の日本産漆を使う

漆はウルシ科の植物でアジアを中心に70属600種あります。そのうち、日本や中国、朝鮮半島において漆液を採取するのは「ウルシノキ」と呼ばれる種です。中でも日本のウルシノキが最も高品質の漆を産します。価格は中国産の8倍にもなりますが、純正の日本産の漆は魂の塗料と呼ばれるのにふさわしい神秘的な魅力があります。そして瑞々しく、いつまでもふっくら感があり、そして時間と共に美しさが増します。輪島屋善仁は岩手県二戸地方で日本最大の漆の森を契約栽培し、純正日本産漆の精製を行い、史上最良の漆を使用しています。


善仁の黒

飯椀黒漆器考古学者の研究によると『中世の黒塗りは、今の黒より奥深く、光は吸い込まれ、果てることの無い小宇宙を想わせた』そして『現代の黒塗りは、鉄分と化学反応させた黒色漆で塗られている。中世の黒は最終の上塗り漆は飴色の透き漆で塗られ、黒は下塗りの黒が底深く見えている』
以来、善仁の器は中世の黒の復活がテーマとなりました。
漆の塗面は光を包み込みます。包まれた光は、塗面に微妙な乱れがあると拡散し、深い映り込みが無くなります。そのため下地塗りから一工程ごとに美しい形に完成させる必要があります。そして最高の塗りと研ぎの技術によって、中世の黒が復活しました。どこまでも深く果てることのない虚空の黒の再生です。

三段重と丸卓

 


善仁の朱(あか)

飯椀朱善仁の朱は黒と同じく繊細に工程管理され仕上がります。善仁の朱は、中世の日本の美、根来の朱の美しさを超えることを目的にしています。
善仁の朱の特長は朱の下に善仁の黒を捨て色にしていることです。発色のベースとして善仁の黒を重ね色とすることで深みのある朱が生まれました。朱の顔料は最も貴重な銀朱を使用しています。日本最高の朱合漆に銀朱が美しい光を発しています。尚、比重の重い銀朱は塗り上がりの数年は色ムラが見られます。美しい刷毛筋の名残は技の見せどころでもありますが、やがて朱の美しさが増すころ消えていきます。
 
入子重と箱膳