江戸時代のくろめ桶

前回の記事で漆の精製に使った大きな小判形の桶(舟ともいいます)は、当社の蔵にかなり昔から保管されていたものです。傷んでいないかどうかチェックしたところ、一部継ぎ目に割れが生じていたので、漏れないように漆で修理してから使いました。

あまりに古いもので、もはやこの「くろめ桶」のことを知る者は誰もいません。ホコリを払って裏返してみると、学がないので全部は読めませんでしたが(笑)、筆書きで「弘化三年」「濱井屋津兵衛」等の文字が見えました。弘化三年といえば江戸時代末期の1846年、なんと172年前!想像していた以上に古いものです。「濱井屋津兵衛」という塗師屋をちょっと調べてみたところ、いくつかの文献にその名称が見え、確かにこの時代に輪島に存在していたようです。

「津兵衛」と当社「善仁」との関係や、この桶の来歴は不明です。それにしても、もう引退してどこかの資料館に入っていてもいいようなもの(笑)ですが、172年の時を越えて今もこうして道具として立派に生きていることに深い感慨を覚えました。

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