輪島塗を支える「地の粉」
輪島塗の堅牢な漆器づくりを支えているのが、下地塗で用いられる「地の粉」。地の粉とは、植物プランクトンの一種である珪藻類が堆積して化石になった珪藻土(含珪藻泥岩)を蒸し焼きにし、粉砕したものです。能登地方は日本有数の珪藻土の産地で、輪島塗における地の粉の使用は江戸時代初期に始まったとされています。
この地の粉と生漆と米糊を混ぜて下地漆を作り、木地に箆で塗っていきます。最初は粒子の荒い一辺地粉、続いて二辺地、三辺地と、工程が進むにつれて細かい粉を使用します。珪藻土はガラス質でできていて非常に堅く、また微細な孔が数多く空いているのでそこに漆が入り込み、極めて堅牢で断熱性にも優れた下地塗となり、輪島塗の品質を支えています。
毎年6月初め、市内の地の粉の産地である小峰山では、地の粉を発見して輪島塗の基礎を築いた先人たちの業績に感謝し、更なる発展を誓う「漆祖祭」が行われています。